ペストについて
ペストとは
ペスト菌による感染症で、歴史的にみると実は何度も人類を襲っています。
特に有名なのは14世紀のヨーロッパで流行した時代です。
この時、人口の3分の1以上が亡くなり、皮膚が黒くなる症状から黒死病と恐れられていました。
どこから
感染症というのは、人の行き来があると伝わってくるものです。
当時、シルクロード(絹の道)によって中国からヨーロッパまでのものが行き来することができました。
その時に、ペストも中国からヨーロッパに渡ってきたと言われています。
そして、このペスト菌を運ぶのはクマネズミと呼ばれるネズミです。
実は、このクマネズミに取り付いているノミが菌を持っていて、そのノミに刺された人が感染していたのです。
あのマスクの誕生
しかし、この仕組みがわかっていなかったため、17世紀には空気感染するのではないかと考えられていました。
そこで、医者はこのくちばしのような「ペストマスク」をつけて治療を行っていました。
このくちばしのようになっているのは、その中にミントやバラの花といった香りの強いものを詰めるためです。
なぜこのように花を詰めていたのかというと、感染病は邪悪な空気(悪臭)で広がると考えられていたからです。
これにより、くちばしのようなマスクが誕生しました。
現代とペスト菌
実は現代でもペストは発生しています。
発生地域は図のとおりです。
また、かつてはワクチンも使用されていましたが、十分な効果がないことから現代では使用されていません。
そこで予防法としては、流行地では野生動物・感染が疑われる家畜やペットに近づいたり触れたりしないことが挙げられます。もし、感染源(ノミ・ペスト患者)と接触した場合は抗菌薬を予防投与することで発症を高率に防ぐことができます。